収穫シーズン終了、終盤に良いことも

本園における育種株の収穫及び収穫時調査はひとまず終了しました。今年は台風や大雨で大変なシーズンになり、その他のこともあって、昨年より19日遅れの終了となりました。やれやれですが、堀り遅れによる土中での落莢はあまりなく、その意味ではホットしています。系統選抜のための食味試験は過熟粒が多くなるので、やりにくくなりそうですが、それでもこういう時にこそ真に美味しい系統や個体を選抜できるかもと思ってプラス思考でやるしかなさそうです。
 一方、今シーズンは良いこともありました。それは、種皮色が白で大粒の個体を圃場で選抜できたことです。とてもラッキー!!
 白色の落花生は美しいのですが、当園で保有している2品種は粒が小さく見映えはイマイチです。そのため、極大粒の「おおまさり」を直接的あるいは間接的に相方(交配親)にして交配し、大粒の白色品種の育成を目指してきましたが、いずれもうまくいかず、僅かに得られた白色個体も全て小粒でした。
 本WEBサイトの育種の実施状況コーナーでもそのことはご確認いただけるかと思います。『交配組合せと後代2』と『育種で種子特性を改善』の写真をご覧ください。白の大粒系統は得られていないことがおわかりいただけます。
 遺伝的には、白の種皮色形質と小粒形質がかなりの程度連鎖している可能性が大と思ったのですが、さらに悪いことに白の種皮色が2因子劣性遺伝をし、交配しても当園で選抜を開始する雑種第2代では全体の1/16しか生じなかったことです。種皮色の他の有色形質(赤・暗紫等)はほとんどが優性遺伝をし、また粒大との連鎖関係も薄いので、交配後代での有色大粒個体/系統の出現率が高く選抜は容易なのに比べ、これらのことは白色大粒品種育成上の大きな阻害要因になってきました。
 それをクリアした個体が、今回の「愛の香り」との交配でした。しかも、掘上げの最後の1個体のみという幸運、0.7%(1/131)という出現率の奇跡、感謝・感謝の思いです。

2019年11月07日